あなたに捧ぐ潮風のうた


 安芸は小宰相の頭を気遣いながら、小宰相の身体を寝具に横たえた。その一つ一つの所作も相手を気遣うもので、この子は本当に優しい子だと小宰相は頭の痛みも忘れて思った。

「……ありがとう、安芸。貴女がいてくれて助かったわ」

 感謝の気持ちを込めて微笑むと、白粉の上からでも分かるほどに安芸の頰が赤くなった。

 小宰相さまの貴重な笑顔……とぶつぶつ呟いていた同僚を訝しみながら見つめていたが、安芸はすぐに我に返って「と、とんでもございません」と首を振った。

 安芸はその日は終日小宰相に付き添っていた。

 もう気にしないでよいと言っても安芸は小宰相を気にかけて傍から離れず、常に体は大丈夫かと尋ねたり、頭は痛くないかと尋ねたりした。

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