あなたに捧ぐ潮風のうた



 通盛はその日から小宰相の屋敷に通い、小宰相を毎晩抱いて妻にした。小宰相は通盛に抱きしめられる度、翌朝に丁寧に髪を梳かれ、着物を整えられる度、妻となった実感を抱き、溶かされるような幸せな気持ちを覚えた。お互いの存在を感じて求める度に二人の愛情は深くなっていった。

 そして、二人の噂が都に広がるのも、そう遠い話ではなかった。


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