あなたに捧ぐ潮風のうた
「さあ、ついて来なさい。お前をみなに紹介しよう」
上西門院が手招きをしているのを見て、小宰相は呉葉を伴い、上西門院の背中に続いて歩き始めた。
磨き抜かれた廊下を歩いていくと、美しい女房装束に身を包んだ清らかな容姿の女房たちの視線が、こちらに向けられている。
彼女たちはみな新入りの女房に興味津々のようだ。
普段、多くの人間の視線が集まる機会は少なく、小宰相は少々居心地が悪く感じた。
彼女たちに礼をすると、逃げるように上西門院の背中を追い掛けた。
ある部屋に入った上西門院はそこにいた女房たちの視線を集めると、小宰相を部屋の中に入れた。