わたし、気付けば溺愛されてました。


だんだん、理解してきた。


わたしはおそらく………


「…………しずく姉。どえらい人、助けたんじゃないの」


…………うん。司、わたしも今ちょうど同じこと思ったよ。


あのとき──横断歩道をわたっていると、反対側から同じクラスの佐伯くんがやって来ていた。


わたしはそのことに認識はしたけれど、とにかく急いでいたから特に気にとめることはなかった。


次の瞬間左からキキイイー!という大きな音がして、目をやれば車が佐伯くんめがけて突っ込んできていて。


勝手に体が動いて、気づいたら佐伯くんを突き飛ばしていて、わたしがひかれて──今に至るというわけだ。

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