わたし、気付けば溺愛されてました。
司は“どえらい人を”と言っていたし、わたしもそう思ったけれど、
これは……運がよかったんじゃないか。
助けた相手が佐伯記念病院の一人息子、佐伯匠だったことは不幸中の幸いなんじゃないか。
ここは……ご厚意に遠慮なく甘える他、ないんじゃないか。
「っお父さん!!佐伯さんたちにお願いしよう!うん、そうしよう!!」
そうすれば、お父さんは気兼ねなくお仕事をまっとうできる!!
『し、雫、いいのか……?』
「うん、大丈夫!!そのかわり、次帰ってきたときは特上寿司だからね!!」
『ああ、わかった!!それじゃあ、安静にな。またテレビ電話しよう。佐伯さん、雫たちを頼みます』
「はい、お任せください」
そうして、タブレット通信は閉じられた。