わたし、気付けば溺愛されてました。
「雫さん、なにかご要望はあるかしら。なんでも遠慮なくおっしゃってね」
マダムが優しい瞳でわたしに問いかけてきた。
ほんとに……なんでも言っていいのかな?
「ええと……メイドさんに、家のことをしてもらいたいです。あとは……この足じゃ歩けないので、送迎とか……お願いしてもいいでしょうか……?」
探り探りにそう尋ねてみると、マダムは目を丸くした。
「家のことって……完治するまで、ご兄弟みんな、ご実家で過ごされるの?」
「?は、はい」
「そう、そうよね、住み慣れた家がいいものね。もしよかったら**ホテルにでもと思ったのだけれど…」
それ、三ツ星ホテルじゃん。
じ、次元がちがう……。