わたし、気付けば溺愛されてました。
わたし、新木雫(あらきしずく)の朝は毎日が戦争だ。
「あーもー、圭くん!ちゃんとフォーク使わなきゃだめだよ!もう手づかみは卒業したでしょー!」
「だってえ」
「だってじゃない!
ッああ!桃!まだ制服着替えてないの?バス来ちゃうよ!?」
「ふあ~い」
「しずく姉、俺もう行くよー?」
「司、お弁当忘れてる!」
「あ、そーだった!」
朝、家を出る順番は次の通り。
まず、中一の司(つかさ)がサッカー部の朝練。
その次に年長さんの桃(もも)の幼稚園のバス。
それからわたしと三歳の圭(けい)くん。
圭くんを預けている保育園は、わたしが通っている高校の通学途中にあるのだ。
「そういえば、今日生ゴミの日だった!!」
今日出しておかないと!!
遅刻覚悟で焦ってゴミの片付けをする。
「雫ちゃん、まだぁ?僕じゅんびできたよぉ」
しまいには圭くんを待たせる始末。