わたし、気付けば溺愛されてました。
「ねえつかさくん、あのお兄ちゃんにもしずくちゃんが起きたこと言わなきゃ!」
ふいに桃が司のそでを引っ張って、思い出したように告げた。
あのお兄ちゃん……?
だれのこと…………?
「ああ、そうだった。飲み物買ってくるって言ってたから、たぶんもうすぐ戻……」
──ガラガラ
そのとき病室の扉が開き、足音が近づいてくるのがわかった。
姿が見えたその人物は、五本のペットボトルを抱えていた。
わたしが好きなりんごジュースと、司が好きな三ツ矢サイダーと、桃が好きなカルピスと、圭くんが好きなヤクルトと、最後はただのお茶。
彼はわたしと目が合うなり、ペットボトルを急いでそばのテーブルに置き、一目散にこちらへかけてきた。