わたし、気付けば溺愛されてました。
右から、白衣姿のダンディーなおじさま、
シンプルだけれど高貴なそうなベージュのスーツを着たマダム、
白い手袋に黒いスーツ、口髭を生やしたおじいさん、
メイドの格好をした女性が三人、
医者らしき男性が二人と、ナースが二人。
…………これはいったいなんの集まり?
「──新木さま。この度は息子の匠をかばってくださり、心から感謝申し上げます」
「「感謝申し上げます」」
「そして、痛い思いをさせてしまい、深くお詫び申し上げます」
「「お詫び申し上げます」」
ダンディーおじさまが告げる言葉のあとに、残りの九人が一斉に声を重ねる。
そして、十人が深く深く、頭を下げ始めた。
いや、十一人目がそこにいる。
わたしのすぐ隣──佐伯匠(さえきたくみ)くんだ。
十人よりももっと深く、頭がひざに付きそうなほどだ。