わたし、気付けば溺愛されてました。


右から、白衣姿のダンディーなおじさま、

シンプルだけれど高貴なそうなベージュのスーツを着たマダム、

白い手袋に黒いスーツ、口髭を生やしたおじいさん、

メイドの格好をした女性が三人、

医者らしき男性が二人と、ナースが二人。


…………これはいったいなんの集まり?


「──新木さま。この度は息子の匠をかばってくださり、心から感謝申し上げます」

「「感謝申し上げます」」


「そして、痛い思いをさせてしまい、深くお詫び申し上げます」

「「お詫び申し上げます」」


ダンディーおじさまが告げる言葉のあとに、残りの九人が一斉に声を重ねる。

そして、十人が深く深く、頭を下げ始めた。


いや、十一人目がそこにいる。

わたしのすぐ隣──佐伯匠(さえきたくみ)くんだ。

十人よりももっと深く、頭がひざに付きそうなほどだ。


< 9 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop