レテラ・ロ・ルシュアールの書簡
二話
「陽空。王は何だって?」
僕は魂を集めるという、儀式の場へ行く馬車の中で、陽空に話しかけた。僕の他にはヒナタ嬢と、護衛だという兵士が三人ほどいた。燗海さんとアイシャさんは、別の馬車に乗って移動している。王も出向くというので驚いたが、彼ももちろん別の馬車だ。
「ふっふ~ん。特命だ。まあ、着いてからのお楽しみだな」
陽空は得意げに答えて、指を軽く振る。
「ちぇ」
僕は舌打ちをして、何気なくヒナタ嬢に視線を送った。ヒナタ嬢は、相変わらず無味乾燥といった感じで、ぼけっとしている。でも、その鼻白む感じが不思議と妖しく、どこか艶かしい。まるで、この世の者ではないみたいだ。そんなことをふと思ったとき、軽薄な声音が耳についた。
「ヒナタちゃんはさぁ、食べ物何が好きなの? 今度一緒にご飯行かない?」
僕には彼女は近寄りがたく、神聖さすら感じるのに、陽空はそんなことはまるで感じないらしい。さっきから彼女をがんがん口説いている。相手にすらされてないのに、まるでめげない。
(男としては立派なのかも知れないけど、訳す方の身にもなってくれよな)
僕は、呆れ交じりにため息をついて、どうせ無視される彼の言葉を訳した。
僕は魂を集めるという、儀式の場へ行く馬車の中で、陽空に話しかけた。僕の他にはヒナタ嬢と、護衛だという兵士が三人ほどいた。燗海さんとアイシャさんは、別の馬車に乗って移動している。王も出向くというので驚いたが、彼ももちろん別の馬車だ。
「ふっふ~ん。特命だ。まあ、着いてからのお楽しみだな」
陽空は得意げに答えて、指を軽く振る。
「ちぇ」
僕は舌打ちをして、何気なくヒナタ嬢に視線を送った。ヒナタ嬢は、相変わらず無味乾燥といった感じで、ぼけっとしている。でも、その鼻白む感じが不思議と妖しく、どこか艶かしい。まるで、この世の者ではないみたいだ。そんなことをふと思ったとき、軽薄な声音が耳についた。
「ヒナタちゃんはさぁ、食べ物何が好きなの? 今度一緒にご飯行かない?」
僕には彼女は近寄りがたく、神聖さすら感じるのに、陽空はそんなことはまるで感じないらしい。さっきから彼女をがんがん口説いている。相手にすらされてないのに、まるでめげない。
(男としては立派なのかも知れないけど、訳す方の身にもなってくれよな)
僕は、呆れ交じりにため息をついて、どうせ無視される彼の言葉を訳した。