レテラ・ロ・ルシュアールの書簡
「火恋様、こちらでよろしいですか?」
「うん。でも、やっぱりわたし、行くのやめる」
「え?」
晃と僕の驚いた声が重なった。思わず顔を見合わせてしまう。
「ていおうがくのシュクダイがあったのわすれてたの。でもせっかくおにいちゃんがきてくれたから、オウスの街は見てほしいの。ヒカルあんないしてあげてよ」
火恋……。お前はなんて、良い子なんだ!
「そうですか」
晃は残念そうに呟いて、僕に向き直った。
「じゃあ、行く?」
上目遣いで窺うように見る。心臓が跳びはねて、どくどくと脈を打つ。
「お、おう!」
思わず声がかすれてしまった。
咳込んで誤魔化して、僕は晃と一緒に部屋を出た。