恋とさくらんぼ
嫌な予感
桃、大丈夫かなあ。
気合い十分で登校していった双子の妹を心配する余裕は、高校が近づくにつれてなくなっていった。
なぜなら、電車や通学路で、顔も名前も知らない女子や男子から、次々に話しかけられるからである。
桜と桃は姿形こそ鏡写しでも、性格は大きく異なる。
内向的で他人と関わりたがらない。これは桜。
外向的で誰とでもすぐに仲良くなれる。これは桃。
おしゃべりが苦手な桜にとって、数多の人間と笑いながら通学するのは、かなりの苦痛だった。
桃、友だち多すぎ……!
そして苦痛は校内に入るともっと酷くなる。
三年分の表情筋と声帯を、本気で使い果たした気になった。
気合い十分で登校していった双子の妹を心配する余裕は、高校が近づくにつれてなくなっていった。
なぜなら、電車や通学路で、顔も名前も知らない女子や男子から、次々に話しかけられるからである。
桜と桃は姿形こそ鏡写しでも、性格は大きく異なる。
内向的で他人と関わりたがらない。これは桜。
外向的で誰とでもすぐに仲良くなれる。これは桃。
おしゃべりが苦手な桜にとって、数多の人間と笑いながら通学するのは、かなりの苦痛だった。
桃、友だち多すぎ……!
そして苦痛は校内に入るともっと酷くなる。
三年分の表情筋と声帯を、本気で使い果たした気になった。