恋とさくらんぼ

もはや運命

一年H組が桜の教室だと、事前に聞いている。

「……っと、ここか……」

校内に入ってからの道順も教えられていて、その通りに歩くとプレートが見えてきた。

桃はどきどきしながら扉を開ける。

窓際から二番目の列の、一番後ろの席。

心の中で呟いて、慎重に席についた。

間違ってないよね……?

不安に思いつつ教科書類を机に入れていると、カサリと音がする。

紙を取り出して見ると、桜の字で、『関谷桜』と書かれてあった。

……桜ちゃん……!

涙腺が緩みそうになる。姉のこういう気遣いが大好きだ。

四つ折りに畳んで、紙を大切にポケットにしまった。
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