恋とさくらんぼ
「……大きな怪我じゃなくて本当によかった。それだけが救いです」

「そ……そうですね」

気が動転して、こくこくと頷くことしかできなくなる。

「……あの。俺、サッカー部なんです」

「あっ、そうなんですか! 通りで、上手でしたね」

「ボールが明後日の方向に飛んでいくようなプレイヤーですが」

「いえ、そんな」

「あの、それで」

牧野は少し口ごもった。

なにを言いたいのかよくわからないので、桃は大人しく彼の言葉を待つ。
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