恋とさくらんぼ
……くうううっ……!

これは、これは私、望みがあると思う!

脈なくないと思う!

告白したら上手くいくかもしれない、本当に!

……桃が桃であることを除けば……。

わあああっと色々どうしようもなくて、感情の行き場がなくて、ベッドの上を転がる。

「……桃? なにしてんの?」

「はっ……桜ちゃん!」

桃はスマホを放り出し、ベッドから飛び降りて桜に抱きついた。

「聞いてー!」

「聞くけども。髪、まだ濡れてない?」

「えへ」

「……桃がいいならいいけどさ」

「あ。ね、明日からでいいんだけど」

「なに?」

「髪の手入れの仕方教えてくれる?」

小首を傾げて桃は微笑んだ。

少しでも、姉の綺麗な髪に近づきたいと思った。
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