恋とさくらんぼ
歩いていると、場内の雰囲気が変わってきた。

喧騒と享楽から、期待と興奮へ。

もしや、と思ってスタジアムを覗き込むと、ユニフォーム姿の選手たちが散らばっている。

「始まるな。キックオフだ」

いつの間にか傍らにいた宮沢が囁いた。

前後して、ホイッスルが鳴り響く。

会場が沸き立った。試合が始まったのだ。

「芍薬は黒いユニフォームだったっけ」

「え、知らない」

「自分の学校だろ?」

「興味なくて……」

だが言われてみれば、なんとなく見覚えがあるような気がする。

緑色のフィールド上で、青と黒のユニフォームが入り乱れている。
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