優しい彼と愛なき結婚
幼馴染と結婚話
ナニソレ。
数秒前、身に覚えのないことを聞いた。
「2人の結婚式はいつにするの?」
「僕は春が良いと思います」
もちろんプロポーズ後のカップルの会話ではなく、私と同じテーブルを囲む母と子の言葉だ。
しかも私を置いてきぼりにして、話は進む。
「優里さんの花嫁姿、とっても楽しみだわ」
「僕もです」
ユウリ。それは私の名前で。
私、結婚することになっているようです…。
確かに昨日、隣りに座る幼馴染からプロポーズをされた。嬉しさよりも付き合ってすらいないのに突然、結婚の話をされて正直戸惑った。だから恋人から始めたいと申し出たはずなのに、私の返事はなかったことにされている。
自身の母の話に合わせている幼馴染を見ると、その目は"余計なことを言うな"と告げていた。
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