優しい彼と愛なき結婚

翌日、初めてずる休みで会社を休んだ。

歩夢とは顔を合わせづらくて訪ねて来ても布団を被り、目を合わせなかった。

最低なお姉ちゃんでごめん。


お粥を置いて行ってくれたようだが、少しも食欲が湧かない。

頭痛と吐き気に支配されている。



今頃、大悟さんはどこにいて、誰といて、なにを考えているだろうか。

綾人さんは、現実に打ちひしがれているだろうか。



私が、最後に、大悟さんのためにできることってなんだろう。


離婚すること以外に何かできるか、と頭を巡らせて笑ってしまう。


私が、離婚したくないだけじゃん。



離婚して二度と大悟さんの前に現れない。それが一番、彼のためのように思えて息苦しくなる。




大悟さんと離れたくない。



いつの間にか、
大悟さんを"愛して"しまっていたんだ。



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