優しい彼と愛なき結婚

そしてあろうことか、大悟さんは私の背中を撫でた。


「このまま俺に抱かれるか」

それは問いであるのに断定のような響きをもち、私の耳に届いた。


「……大悟さん?んっ、」


スエットの中に温かい手が忍び込み、悪さをする。


くすぐったくて身を捩る。


「ちょっ、止めて!」


「だから早く寝ていれば良かったし、そもそもダブルベッドにしたいと言わなければ良かったのに」


「大悟さん!」


「嫌だって言って。そしたら止める」


手は止めず、彼は言った。


「言わないの?」


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