優しい彼と愛なき結婚
翌朝。
アラームが鳴るまでぐっすりと眠った。人は案外、図太いものだ。
いつもと同じ時間に起きて、時間をかけてお弁当を作る。
歩夢が小さい頃はおばあちゃんが、私が働いてからは歩夢が料理を担当することが増えて家族の中では一番、私が料理下手かもしれない。
本当に私は家族に支えられて生きてきたのだと改めて思う。
その上、大悟さんにまで甘えてしまっている。
お弁当箱に詰めて水筒に温かいお茶を注いだ後、大悟さんを起こしに寝室に向かう。
昨夜のことがあり少し気まずいが、嫌でなかったと分かって欲しい。ーーいや、口でちゃんと伝えたら良かったのかな。
大悟さんは布団を蹴飛ばして寝息を立てていた。
いつも寝相が悪く、髪は短いほうだが寝癖がついていた。
無防備な姿に安心する。
せっかくのお休みなのでゆっくり寝かしてあげたい気持ちと、起きて欲しい気持ちとで葛藤し、
小さく名前を呼んでみた。