優しい彼と愛なき結婚
「大悟さん」
すぐに反応してくれた。
重い瞼を少しだけ開け、大きな欠伸をする。
「おはようございます」
「おはよ…起こしてくれるなんて、珍しいじゃん」
確かに大悟さんのアルバイトのシフトが変わるまではお弁当を作っている間に彼が起きてきて、おかずをつまみ食いすることが習慣になりつつあった。
「起こそうか迷ったのですが…」
「ありがと。せっかくの休日なのに寝てるなんて勿体ないぜ」
「朝ごはん、簡単に作ったので食べましょう」
「嬉しいけどアンタこそ、ちゃんと寝たか?」
「もちろんです」
ゆっくり起き上がり、伸びをした大悟さんは気怠げに笑った。
「昨夜、あんなことした俺の横で眠れるとは、俺の信頼は絶大だなぁ」
まぁ…そうだよね。
でも私は、
「大悟さんのことは信じられますから」
相手が"嫌"だと思うことは絶対に強制しない人だと信じているから、昨夜のことがあっても恐怖すら感じない。
「まだ少ししか一緒に居ないですけど、それくらいのことは分かります」