優しい彼と愛なき結婚
「なんでも教えるよ。自分のことほど、教えやすいものはないからな。ちなみにフリースクールには俺も通っていたんだ。そこでバラバラの子供たちをまとめるリーダー的な存在が居てさ。レイって言うんだけど、最初は衝突したけど、今でも一番の仲間だと思ってる」
「レイさん…」
「うん。近いうちに紹介するわ」
「ぜひ会いたいです」
大悟さんの仲間というのなら、少しヤンチャ系の人だろうか。大悟さんの妻はつまらないと思われないようにしないと…と言っても、人見知りだし上手くやれるかな。
「次の駅で降りるからな」
「なにか買っていきますか?」
「奴らにか?いいよ、甘やかさなくて」
「でも休日なのに学校に来ていて偉いじゃないですか。差し入れあってもいいと思いますけど……」
ジッと、大悟さんの視線を感じた。
「…大悟さん?」
余計なことを言ってしまっただろうか。フリースクールにはフリースクールのルールがあるのに、なに大人ぶって勝手なことを言っているだろう。
「すみません、出過ぎたことを…」
「いや、そうじゃなくてさ」
首を振った大悟さんは笑って否定した。