優しい彼と愛なき結婚

上下お揃いの下着にしたし、新しいパジャマも着た。もしかしたらとは思っていたけれど…どうしよう…。


10分もすれば洗面所からドライヤーの音がした。髪の短い大悟さんは洗面所で立ったまま乾かすことが習慣だ。


あの音が止まったらーー

夫婦なのだし、好き同士だし。
当たり前のことかもしれないけれど、私にはハードルが高い。


ぐるぐると回転した頭は答えのない問いを考える。


そしてドライヤーの音が止まった。



大悟さんのスリッパを擦る音が近付き、寝室の扉が開いた。


「…っ、」


現れた彼は上半身裸で、筋肉がつき、腹筋の割れたその身体が目前に迫る。


「上着は…」


「必要ないでしょ」



そう言って不敵に笑う彼は、私の服に手をかけた。


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