優しい彼と愛なき結婚
宣言通り大悟さんの触れ方は最後まで優しかった。
少しだけ痛みに顔を歪めれば、すぐに動きを止めて額にこめかみに、唇にキスを落としてくれた。
「大悟さん…大丈夫、…ですよ」
額に汗を滲ませ、唇を噛み締める彼の辛そうな顔を見た時、恐怖も痛みも消えた。
「私は大丈夫ですから」
「優里…」
笑ってみせる。
大悟さんの焦げ茶色の瞳は私だけを映している。
「優里、愛してる」
「私も…んっ、」
甘く痺れるような痛みと共に快楽の波が襲ってきて、大悟さんにしがみつく。
生きてきた中で一番、幸せな夜だった。