優しい彼と愛なき結婚

「歩夢、カメラマンに家族写真も撮ってもらえるか確認して来い」


「え?俺たちも」


「せっかくの機会だからな」


「聞いてみる!」



慌てて歩夢が外に駆けて行くと、大悟さんに手を引かれた。



「たく、邪魔しやがって」

「でも家族写真は嬉しい」

「…そうだな」


大悟さんはポケットに手を入れて、中から取り出したものを見せてくれた。


「俺からの誕生日プレゼント」

「え…」

「つけて写真とってよ」

「…ありがとうございます」



大悟さんの手が首に回り、

ハートにダイヤが埋め込まれたネックレスをつけてくれた。鏡越しに見るとキラキラと反射して眩しい。

私にはこの輝きが眩しすぎるよ。


「ありがとう。こんなサプライズ反則です」


「たまにはカッコつけさせろよ」



今日という日の感情をどのような言葉で表したら良いか分からない。

ツンっと目の奥が熱くなる。
慌てて上を向いて耐えた。

せめて撮影が終わるまでは…。


「おい、ばあちゃん泣くなよ。アンタが泣いてどうするよ」


壁際の椅子に座っていたおばあちゃんがハンカチで目元を拭っていた。






この日撮った大悟さんとのツーショットも、家族写真も。どちらも我が家の宝物になった。


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