優しい彼と愛なき結婚
好きな人。
気になる人がいても恋愛に発展したことはないな。つまらない人生って言うのかな。
「…そうだとしたら、私との結婚を諦めて頂けますか」
「誰?僕の知ってる人?」
「…誰か話したら、結婚はなかったことにして頂けますか」
ワインを飲み、綾人さんは小さく笑った。
「僕も君を譲るつもりはないよ」
盛大なため息をつきたい気分だ。
別れ話は経験したことがないけれど、こんな感じなのかな。ものすごく体力を使うんだ。