優しい彼と愛なき結婚

するりと慣れた手つきで下着の金具が外される。


「綾人さん！」


「大丈夫。今すぐ子供ができるようなことにはしないからね」


「そうじゃなくて！」


「優里、もう黙って。君は僕を受け入れればいいんだ」


いつもと同じ。
私はまだこの人の言うことを利かなければならないの？

ダークブラウンのミディアムヘアーも綾人さんが似合うと言ったから、学生時代から変えていない。
今、脱がされそうになっている桃色のワンピースも、私の好みではない。いつかの誕生日に送ってもらったネックレスも見えない鎖のように私の首に巻きついて絡む。


「嫌！離してください！」


嫌だ、もう無理…。
鎖を断ち切った先が闇であっても、これ以上は耐えられなかった。