優しい彼と愛なき結婚

ひとり残されたリビングでお茶を飲み、一息つく。


「ま、明日までに考えておいて。先にシャワー浴びてくるな」と、言い残して大悟さんはバスルームに消えた。

世間一般的には今日は初夜と呼ぶのかもしれない。小っ恥ずかしい表現を慌てて振り払う。


同じベッドで眠る。
それは私がお願いしたことだけど、眠れるだろうか。

慣れない新居と、隣りには男性が寝ているそのベッドで安らかな眠りにありつけるのかは疑問だ。


今更ながら心配になってきた。
心なしか心臓の鼓動も速くなってきている。



おばあちゃんにも歩夢にも、この結婚が借金によるものだとは見破られずに済んだ。それだけで十分だと思おう。今のところ順調にいっているんだ。良かった。


それにしても疲れたな…。


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