一途な御曹司と16歳の花嫁
誘惑
さっきのお店を出て、また2人で車に乗り込むと伊織さまが繁々と私を眺めてきた。
というか、さっき買ってもらったクリーム色のワンピースを見ているみたいで。
「つむぎの良さを最大限に引き出してくれる服だな、とてもよく似合ってる」
「あ、あの」
ストレートに褒められると恥ずかしくなり、戸惑ってしまう。
「リボン、少し緩んでるから結び直してやろう」
「あ、いえ私が自分でやります」
彼がワンピースの腰のリボンに手を伸ばそうとするので慌てた。
「つむぎ、ファスナーはどこだ?」
「え、えっと背中のところです」
「ふうん」
なんでファスナーなんて気にするんだろうか。
彼が眩しそうに私を見つめるので、顔が火照ってくる。
「つむぎ、知ってるか?男が女に洋服を贈るってことがどういう意味か」