一途な御曹司と16歳の花嫁
「俺がか?」


「随分おモテになりますもんね」


嫌味っぽく言うとおやって顔をされ、ふわりと笑われる。


「なんだ、ヤキモチか?こんな密室で俺を煽ってどうしたいんだ、つむぎは」


「そ、そんなんじゃ。もう知りません」


ますます顔が熱くなり、これ以上赤い顔を見られたくなくて彼に背を向けて窓ぎわに逃げるように移動する。


「フッ、ほんとに可愛いよな。つむぎそんな端っこにいないでこっちにこいよ」


「いじわるな伊織さまは嫌です」


「じゃあ、優しくするよ」


彼の甘いささやきが、鼓膜をくすぐる。


次の瞬間、窓にへばりつくようにしていた私は後ろから彼に抱きしめられて身動きとれなくされてしまう。


「・・・っ」


「つむぎ」


耳元に息がかかるから、胸がドキンと跳ねる。


「だめ、伊織さま」

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