一途な御曹司と16歳の花嫁
え、私は今どんな顔をしているんだろう。


伊織さまの目に映る私はどんな風に見えるのかな。


思わず口を結び小首を傾げて彼を下から覗きこんだ。


「だから、そういう顔、ズルいよなつむぎは。嫌がってるのかと思えばそうやって誘ってきて」


「え、違うっ」


彼の言葉に反論しょうとしたけれどうまく続きが言えない。


「それでなくても、こっちは余裕なんてないのに。何を勘違いしてるのかしらないけど、俺は誰とも付き合ったことなんてない」


「うそ、だって」
 

父にそう聞いたから、私は彼を信用しちゃいけないような気がしていたのに。


わからないよ。
どちらが言ってることが、本当なんだろう。


「もういいだろ、そんなことどうだって」


彼は照れくさそうに、瞳を細める。
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