一途な御曹司と16歳の花嫁
しかも静かで日当たりもよくて、広々としたベッドの隣にはソファやテーブルなどの応接セットも並んでいる。


壁には長閑な田園風景の絵画がかけられている。


テーブルの上にはお見舞いの大きな花束や、高級フルーツセット等が所狭しと並べられていた。


父は神経質なところがあって同室の人のいびきがうるさくて夜ゆっくり眠れないとこぼしていたからここなら安心できる。


「よかったね、お父さん。ここなら同室の人に気を遣わなくて済むし、夜眠れそうだよね」


なによりそれが嬉しくて父に笑いかけた。


父は曖昧にああ、とだけ答えた。


「そうなのよ、今朝からこちらへ移動してくださいと言われて。病院の人に聞いてみたら伊織さまのはからいのようで。びっくりしてたの」


ちょうど見舞いに来ていた母は弾んだ声で言う。

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