一途な御曹司と16歳の花嫁
父のその言葉を聞いて少しホッとした。


彼を褒められただけで、なぜか嬉しくなる。


やっぱり、伊織さまは私が思っていた通りの人だと肯定してもらえたような気がした。


「我が家は先祖代々新海家を盛り立ててきた、これから先もずっとそれは変わらない」


「うん、わかってます」


それは、いつも父から私達家族が耳にタコができるくらいに言い聞かされてきた教えの一つだった。


「だから、つむぎ」


一旦言葉を切った父は白い天井を仰いで呟いた。


「伊織さまとつむぎとの結婚はあってはならないんだ。大恩ある新海家の方々に不利益をこうむらせるわけにいかない。
厳格な旦那様も絶対にお許しにはならないだろうし。


第一、つむぎは彼と一緒になっても幸せにはなれない」


「どうして?」


身分違い、っていう時代錯誤な言葉が頭をよぎる。
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