一途な御曹司と16歳の花嫁
あの時彼に買ってもらった洋服にはあれ以来袖を通してはいなかったけど。


「ジユウか・・・」


ふいに呟いてため息をひとつ吐いた。


もしかしたら、私を試しているんだろうか。


私から会いにくるのを待ってたりして。


まさかね。


少しの間、彼と話をしないだけで、なんだかソワソワしてしまう。
　

次に会ったらどんな顔をしたらいいのかなって、ちょっと想像がつかない。


霧が晴れたような心。


だけどまだ曇り空かも。


父の話は私が彼を好きにならないようにするための嘘だった。


それがわかった今は、彼にどんな顔をして会えばいいのかわからないよ。


だって、彼は私を。


本気で妻にしたいと望んでくれているんだよね。


彼みたいな人に、プロポーズされて嬉しくないわけない。


それが心からの言葉だったとわかった今は尚更。
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