一途な御曹司と16歳の花嫁
だけど、その想いはどちらにしたって受け入れちゃいけないもの。


あのあと、改めて父から何度も言い聞かされたのは我が家の正しい形。


本来あるべき理想の秩序というもので。


先祖代々お仕えしている使用人としての心構えをこれでもかというくらいに繰り返し教えられた。


「いいか、つむぎ。伊織さまとはなるべく距離を置いて2ヶ月間は逃げていなさい。学校だって行かなくてもいい。伊織さまの思い通りにさせちゃいけない」


などと、最後にはめちゃくちゃなことまで言われたのだけど。


いくらなんでも学校を休んでまで逃げ隠れしたりするのはちょっと違うような。


だけど、父の心配をよそに伊織さまは一向にアクションを起こしてこない。


もしかしたらこのまま、なかったことにしようとしてるんじゃないかと疑念まで湧いてくるよ。
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