一途な御曹司と16歳の花嫁

お優しい奥様は私達の結婚には初めから協力的だったから尚更ガッカリさせてしまったのかも。


伊織さまからは自由にすればいいとは言われていたけど、1週間も家を空けるなんて嫁としてはあるまじきことだったのかな。


「喧嘩とかじゃないんです。父が入院しているので母を1人にしておくのが心配で伊織さまのお許しを得て実家に戻らせてもらっていただけなんです」


よくまあこんな口からでまかせがスラスラでるもんだと自分に呆れちゃう。


別に私の母はまだ若いし家に1人置いてきたとしても、ピンピンしていそうなタイプだ。


母が知ったら怒るだろうけどここは口実に使わせてもらった。


離婚の危機だなんて心配に発展しかねない奥様を安心させたかった。


「そうだったのね、ごめんなさい。私ったらつむぎちゃんのお家の事情も考えなくて」