一途な御曹司と16歳の花嫁
明後日には奥様の誕生日パーティーがお屋敷で執り行われるらしくて、準備で忙しいらしい。


お手伝いを申し出たのだけど、やんわり断られた。


結局、南さんが私に的外れな忠告をしてきただけのような気がしたから、あまりそのことは考えないようにした。


せっかく来たので、お庭の草花の手入れだけはやらせてもらうことにした。


思った通り、薔薇園は最低限のお世話くらいしかしていないようだったけれど、人手が足りていなさそうなので仕方ない。


腕まくりして早速作業にとりかかった。


「みんな久しぶりだね。元気にしてた？」


「今日もとても綺麗に咲いてるよ」


「いまお水をあげるからね」


大好きな薔薇達に声をかけるのは昔からの私の癖みたいなもの。


花だって愛情をこめて語りかけてあげたら気持ちが通じるんだよって昔伊織さまのおばあさまが教えてくださったんだ。


久しぶりの労働はすがすがしくて楽しくて、いつしか鼻歌まじりににお手入れをしていた。
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