一途な御曹司と16歳の花嫁
「そ、そうだ。伊織さまにお話が」


彼の体をそっと離れて起き上がり、ベッドの上に正座した。


彼はけだるげに起き上がり、ふあっと欠伸をする。


疲れているのか少し眠そうだ。


「伊織さまは毎晩遅くまでどちらへ、出かけてらっしゃるんですか?」


「ん?なんだ。気になるのか?」


「はい、少し」


「・・・つむぎは知らなくてもいいことだよ」


「へ?」


思わず間抜けな声を出してしまった。



まさか、こんな答えが返ってくるとは思わなかったから。


話題を変えるためににあえてしただけの質問だったけど、ふとひっかかる。


どうして正直に教えてくれないの?


執事の南さんは浮気を匂わしてきたけど、まさかそんなことはないと信じている。


だけど、即答してくれないとアヤシイって思っちゃう。
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