一途な御曹司と16歳の花嫁

「ねえ、そこの人これもう食べ終わったからお願い」


さっき伊織さまの噂をしてしていたご令嬢の1人が私にお皿を渡してきた。


「あ、私のもお願い」


「私も」


次々にお皿を手渡されてぼんやりしていた私はうまく受け取れなかった。


私の手から滑り落ちる3枚のお皿。


ガッシャーン　


食べ残しと共に、床に散らばり派手な音をたてた。


「あっ」


そんな、どうしよ。


オロオロしながら床にしゃがむと、せせら笑う声が降ってくる。


「やだ、汚い。ちゃんとしなさいよ」


「だっさーい」


周りの人達もザワザワしだしたから恥ずかしい。


小さい声ですみませんと謝って、お皿と残飯を拾い集めた。


彼女達はクスクス笑いながら奥の方へ立ち去っていく。


私は真っ赤になりながら、片付けを急いだ。