一途な御曹司と16歳の花嫁
床を這いつくばる正臣に馬乗りになる伊織さまは無言でまた拳を振るう。
「伊織さまおやめください」
正臣の部下の男が部屋に入ってきて、伊織さまを後ろから歯がいじめにするようにおさえる。
その一瞬の隙をつき、正臣が殴り返した。
伊織さまは少しよろけたがすぐに体勢を立て直す。
「伊織、こんな女のために何もかも失うつもりかよ」
「おまえに関係ない、つむぎは俺の妻だ」
「ムキになるなよ。ただの女だろうが」
正臣が吐き捨てるように言う。
「汚ない手でつむぎを触るんじゃねえ、くそやろう」
大きな声で叫ぶと伊織さまが正臣に体ごとぶつかっていき、もみ合いになる。
そのまま殴りあいになり、家具や調度品等が壊れる激しい音がする。
そこに正臣の部下の男が割ってはいり、伊織さまは2対1で戦うような形になる。
だけど伊織さまは屈強そうな部下の男の懐に潜ったかと思うと、瞬時に胸ぐらを掴んで投げ飛ばしてしまった。