一途な御曹司と16歳の花嫁
ドシンという床を揺らすほどの音がしたと同時に、女性の悲鳴が上がる。


見れば部屋の入り口のあたりに騒ぎを聞きつけたギャラリーが、集まってきていた。


激しい喧嘩を興味津々に見ているようだった。


ギャラリーは次から次へと増えていき、新海家の使用人の男性数名がかりで伊織さまと正臣を引き離そうとする。


その中にはいつか会ったことのある伊織さまのSPの人達もいた。


だけど、伊織さまの興奮は激しく力も強くて誰も鎮めることができない。


「おやめください、伊織さま」


「伊織さま、お気を鎮めてください」


伊織さまのほうが圧倒的に強くて手数も多かったから、もしかしたら一方的に殴られる正臣がこの場の同情を誘ったかもしれない。


「うるさい、邪魔をするな」


SPの人達が数名がかりで伊織さまをとり押さえようとするけど、すぐに振り切られる。

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