一途な御曹司と16歳の花嫁
「そうですか」


結局は、私と彼が結婚するという身勝手が全ての元凶のように扱われてしまうんだな。


私がどこかのお金持ちの令嬢だったら、話が違っていたのかな。


だけど。


私はこのままずっと彼の妻でいようなんて、図々しい夢を見ていたわけじゃない。


時期が来たら別れさせられるのは仕方がないって諦めていた。


それが、私の周りの人達を傷つけない最善の道だと信じていたから。


だけどあの事件の日以来、私の気持ちも微妙にゆらいでいて自信がなくなっていた。


伊織さまはあれから毎日のように会いにきてくれる。


他愛もない話をしたり、美味しいスイーツを買ってきてくれたり自然な気遣いを見せてくれる。


運動不足にならないようにと時々お屋敷の周りを2人で散歩したりも一緒にしてくれる。

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