一途な御曹司と16歳の花嫁
彼女は薄いピンク色のワンピースを愛らしく着こなし、フワフワの髪は動く度にしなやかに揺れている。


鈴が鳴るような笑い声に、しばし呆然として私は動けない。


それにも増してショックだったのは、イオくんが彼女に優しく笑いかけていたこと。


楽しそうに会話をしている2人は、まるで美しい絵画のようだ。


嫉妬、いやそれ以上の負荷が私にかかる。


ぐわんと視界が歪んで倒れそう。


嫌、なにこれ?こんなのを、見るために私はお屋敷の庭に忍びこんだんじゃないのに。


ひどいよ、イオくん。


きっと1人寂しく、落ち込んでいるんだろうなって心配していたのに。


私に会えない憂いなんて微塵も無い、爽やかな笑顔で他の女の子と話してるなんて。


それが、元婚約者だなんて。


うそ、もしかしたら、元じゃなくて。

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