一途な御曹司と16歳の花嫁
「イオくん・・・ハア」


苦しい、私死んじゃうのかな?もしそうならせめてイオくんの腕の中で。


なんて、馬鹿なことまで思ってしまったけれど。


彼に抱き抱えられて応接室の中に運び込まれた。


ユリナ様は、紙袋のようなものを私の口にあてる。


思ったよりも機転がきくし、キビキビとした動作に感心さえする。


「ゆっくり、吸って吐いてー、落ちついて。
そうそう上手よ。もう一度」


しっかりとした口調で声をかけてくれる彼女がまるで天使みたいに見えた。


紙袋は私の息で膨らんだりしぼんだりを繰り返す。


少しづつだけど楽になっていく。


彼女はなおも優しい声で励ましてくれ、私の背中をさすってくれている。


どうしょう、この人なんて優しい人なんだろう。


こんなに美人でしっかりしてて優しいご令嬢なんて、イオくんにお似合いすぎる。
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