一途な御曹司と16歳の花嫁

あてもなくたどり着いた知らない町で、少しでもお金を節約したくてリーズナブルな旅館に泊まった。


平日の旅館は人も少ないし目立ちやすい。


宿泊名簿にはイオくんは22歳と書いて偽名も使った。


本当は大学生のカップル同士という設定にしたかったのだけど、それは無理があると言われて。


彼は大人っぽい見た目だから、それでも怪しまれないけど私は下手をすれば中学生くらいに見られてしまう。


仕方なく、私達の関係は兄妹ということにして泊まった。




「昨日の旅館の仲居さん達、イオくんに見惚れてたね」


翌日の特急列車の中で、何度となく同じような愚痴をこぼしてしていた。


「さあ、そうだったかな」


「もう、またとぼけて。お風呂にいったと思ったらなかなか戻ってこないから心配してたら、若い仲居さん達に捕まってたじゃない」