一途な御曹司と16歳の花嫁
時々私の様子を見にきては、綺麗だ綺麗だと褒めて涙を浮かべまた仕事へ戻っていく。


「お父さんたら、ジッとしていられないみたいね」


慌ただしい父の姿に呆れたように笑う母。


「うんお父さんらしいね」


だけど、私達はそんな父を誰よりも誇りに思っている。


父は様々な気持ちをすべて私のために呑み込み、今ではこの結婚を応援してくれている。


ありがとう、おとうさん。


今日これから新海家の広いお庭で、人前式の結婚式をして写真を撮る予定だ。


新海家で働く従業員の人達もまじえてみんなで、記念撮影しようということになっている。


お庭の薔薇の花々は今日も優雅に咲き誇り、その美しい姿は私達を祝福してくれているように見える。


きっとここなら、天国のあの方も新海家の幸福な瞬間を見守っていてくれているだろうと思った。

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