一途な御曹司と16歳の花嫁
父との約束
それからどのくらい時が経ったのかもわからないほどボーッとしていたら、ポケットのスマホが鳴った。
夢から醒めたようにスマホの画面を見たら父からだった。
「つむぎ」
「お父さん」
その声は慌てているように聞こえた。父は入院中なのでおそらくは病室からかけてきたのだろう。
「すまない、私が入院したばかりに。つむぎを一人にしてしまった隙にこんなことになってしまって」
父はもうすべてを知っているみたいだった。
「そんなの気にしないで。お父さん。そうだ同室の人、昨日もいびきがうるさかったの?毎晩眠れないって言ってたよね?」
「そんなことは、心配してくれなくても大丈夫だよ。それよりつむぎ、南君が明日にでも婚姻届けを出しに行くらしくてお母さんにサインをしてもらったらしいんだ」
「え。お母さんに?」