一途な御曹司と16歳の花嫁
好きでもない、むしろ嫌ってたはずの私なんかと結婚するなんてやっぱり変だし。


一瞬でも彼がもしかしたら自分を本気で好きなんじゃないかと思ったことが恥ずかしい。


そんなことあるわけがない。


そんなこと天地がひっくり返ったとしてもあり得ないこと。


それなのに、さっきまで浮足立っていた自分が恥ずかしい。


「わかった、お父さん。私2ヶ月後まで頑張るよ。
だから、心配しないで」


「お父さんと約束してくれ、決して伊織さまを異性として好きにはならないと」


「え。やだ、お父さんたらそんなことわかってるよ」


そんな風に直球で言われたら、見透かされたみたいで恥ずかしい。


さっき、彼に抱きしめられ危うく陥落させられそうになっていたんだから。


確かに私って簡単すぎるかも。


さっきはいとも簡単に、心を持っていかれそうになっていた。

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