一途な御曹司と16歳の花嫁
今だってこんなにまだドキドキしてるんだ。


伊織さまが私を見つめた時の真剣な瞳も、私の名を呼んだ時の優しい声も、思い出すだけで体中が熱くなってしまう。


気をつけなきゃ、プレイボーイの伊織さまにコロッと騙されるところだったなんて。


「お父さん、わかったよ。2か月間なんとか伊織さまとの結婚生活をやりすごすから」


「いやいやその件なんだが、今すぐ家に帰って荷物をまとめて親せきの家にでも2か月間隠れていなさい」


「え、やだよそんなの。学校だってあるんだし」


それから父は友達の家にでも隠れておけとかなんとか、私をこのお屋敷から引き離そうとする提案ばかりしてきた。


「ダメだよ、今はお父さんもいないんだし新海家のお庭のお世話とか私にだってやることがあるんだからっ」
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