一途な御曹司と16歳の花嫁
「いいえ」


「じゃあ、どうして泣いてるんだよ」


彼の人差し指が私の瞳に溜まった雫に触れる。


「わかりません」


「そんなに、嫌なのか?俺のこと」


「違います、初めてなので緊張しているだけで」


目の前には、怒ったように眉をひそめる彼の美しい顔がある。


だけど、その瞳と耳が少し赤い。

だから、尚更色っぽく感じてしまう。


彼の手が、私のパジャマに伸びてきたので飛び上がりそうになった。


「こんな、乳臭いパジャマを脱がしたら、ちょっとはそそられるのかな」


「ひっ」


「まあ、下着も子供っぽいんだろうけどな」

クッとからかうように笑われた。


そう言えば、上下そろった下着なんて持ってないんだ。


今だって、スポブラ着けてるし。どうしょう、さすがに引かれそう。


今度、大人っぽい下着を買いに行かないと。

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